アジアおでかけブログ

香港在住。6歳の娘と一緒にアジアをあちこちちょっとマニアックに。香港生活、マカオ、台湾、大陸旅など。

<香港:荃灣>香港映画「但願人長久 Fly Me to the Moon」

昨日の朝は空が真っ黒で土砂降りの雨。家にいてもぼーっとしてしまい、少しでも外に出たほうが健康的かも?と思い、映画を見に行きました。見たのは私の好きな台湾の俳優、吳慷仁(ウーカンレン)の出演している香港映画「但願人長久 Fly Me to the Moon」です。

Candy Park By Cinema City

映画は香港の場合、午前中行くと安いのですが、それでも金額にばらつきがあり、一番安い映画館を調べたら、よく行く旺角 Mong Kok(モンコック)の映画館と荃灣 Tsuen Wan(チュンワン)の愉景新城 D Parkにある映画館だったので、D Parkに行きました。チケットは11時の回で38HKドル。Candy Park By Cinema Cityという映画館で、子供向けの映画館でもあります☟以前娘を連れてドラえもんを見に行ったことがあります。

「但願人長久 Fly Me to the Moon」

「但願人長久 Fly Me to the Moon」の舞台は香港。中国の湖南省からやってきた新移民の姉妹、子圓と子缺の物語。二人が湖南省から香港に移民してから、社会からの差別や貧困問題、麻薬中毒者の父に悩まされながら成長する姿を描いています。背景も、1997年、2007年、2017年と3つの時代で描かれています。

この映画の中で麻薬中毒で借金をして妻や娘にお金をせびったり、暴力をふるったりするどうしようもない父親、林覺民を演じているのが吳慷仁です。本当にあり得ない父親なのですが、それだけに吳慷仁の演技が光っていました。先に行われた香港電影金像獎で吳慷仁は助演男優賞にノミネートされたものの受賞はならずで、あの演技でなぜ受賞できなかったのか?とニュースで話題になっていたほど。

吳慷仁といえば、去年公開されたマレーシア映画、「富都青年 Abang Adik」で、身分証明がなくて外国人労働者たちと働く、聾啞の男性阿邦 Abangを演じ、そちらの演技も素晴らしかったです。阿邦 Abangのほうは、今回のどうしようもない父親林覺民とは違い、誠実で働きもので全く正反対の役です。どちらも真に迫った演技で、さすが吳慷仁といった感じでした。ちなみに、吳慷仁は「富都青年 Abang Adik」で去年の金馬獎 Golden Horse Awards(台湾の映画賞)の主演男優賞を受賞しています。

吳慷仁は、「富都青年 Abang Adik」では聾唖の男性役だったためセリフはなかったのですが、今回見た香港映画「但願人長久」では、湖南省からの新移民ということで、セリフは湖南省の方言と広東語でした。どうやって覚えたのかと思っていたら、なんと「富都青年 Abang Adik」の撮影でマレーシアに滞在している際、毎日撮影が終わった後湖南省方言と広東語を勉強したと言うからすごいです(ニュースに書いてあった)。本人曰く、「だって聾唖男性の役でセリフを覚える必要がなかったから」ということですが、それでも自頭がいい人なんだなぁと感心せずにはいられませんでした。

「富都青年 Abang Adik」にしろ「但願人長久」にしろ、普段はなかなか触れられることの少ない層の人々の、社会問題や貧困問題をテーマにしていて、興味深かったです。最後はどちらも切なさが残り、色々考えさせられました。おススメです。