旧暦七月は鬼月。あの世の扉が開き、1か月間、あの世から戻った霊魂が人間界をさまようと信じられています。香港では盂蘭勝會があちこちで行われます。娘が潮州オペラを見たいと言い出して、今年も盂蘭勝會に行ってきました。
中華圏では、旧暦七月は鬼月とも呼ばれています。「鬼」というのは日本で言うオニではなく、霊魂、幽霊のことです。旧暦七月一日に鬼門(あの世の扉)が開き、三十日に扉が閉まるまで、1か月間あの世からやって来た霊魂が人間界をさまようと信じられています。
鬼月の1か月間は、祖先だけでなく、よりどころのない亡霊があちこちにいると信じられているので、海に入ってはいけない、夜中出歩かない、鬼と呼ばない(好兄弟と呼ぶ)などタブーが多いです。香港ではそれほどこのタブーについて触れられることはないのですが、台湾だと結構信じている人が多い印象です。
鬼月の1か月間、香港ではあちこちで盂蘭勝會と言う儀式が行われます。現代行われている盂蘭勝會は、仏教や道教、民間信仰などが混ざり合ったものです。中でも、旧暦七月十五日は、仏教では「盂蘭盆會」、道教では「中元普渡」。仏教の場合は功徳を積み祖先の成仏と父母の健康を願い、道教の場合は、中元は地官の生誕日で、地官に祖先の罪のみならず、よりどころのない亡霊の罪に対しても恩赦を願います。
今年の鬼月は、8月4日から9月2日まででした。この1か月間、香港のあちこちで盂蘭勝會が行われますが、会場近くではこのように旗がたっていて、目印になります。
毎年、荃灣の盂蘭勝會は沙咀道遊樂場 Sha Tsui Road Playgroundで行われます。先週末近くを通った時に娘がなぜか潮州オペラを見に行きたいと言い出しました。いきなり言い出したので不思議だなと思って考えてみたら、赤ちゃんの時は盂蘭勝會に行くのはあまりよくないと思ったので連れて行くことはあまりなかったのですが、少し大きくなってから数回、そしてほかのお祭りにもよく連れて行ったので、潮州オペラに興味を持ったのかもしれません?
こんな感じで潮州オペラが上演されていました。このようにステージで上演されるオペラは神功戲といって、神にささげるものです。潮州語なのではっきり言って聞き取れないのですが、ステージ両側に中国語字幕が出るので、それを見れば話についていけます。
見に来ているのは年配者がほとんど。子供も時々連れられて見に来るのですが、あまり興味がないようですぐに帰ってしまいます。そんな中、年配者の中に娘が混ざって食らいつき気味に見ていたがちょっと不思議な感じでした。こういうのに興味を持つって私に似てきたのかな…?
こちらでは道士によって儀式が行われていました。
こちらは供物をささげ、熱心にお参りする人の姿がありました。この日は8月31日で、鬼月はこの2日後、9月2日に終わりました。これで旧暦八月に入り、八月十五日(今年は9月17日)の中秋節に向け、町は月餅やランタンでさらに賑やかに彩られていきます。